日記・コラム・つぶやき

2017年8月18日 (金)

東京国立博物館・タイ~仏の国の輝き~

東京国立博物館で開催されている「タイ~仏の国の輝き~」展を見てきました。

今年は日タイ修好130周年。これを記念してタイの名品と仏教美術が一堂に展覧されています。
チラシとポストカードなどから一部ご紹介します。

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タイ~仏の国の輝き~  チラシ表               チラシ裏
中央は「ナーガ上の仏陀座像」部分              左から「ラーマ2世王作の大扉」、「法輪」
                                  「仏陀遊行像」、「騎象仏陀三尊銀像」など

(古代の仏教世界)

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法輪 砂岩 高さ130㎝ 幅95cm奥行29cm      法輪頂板(部分)
7世紀 法輪は車輪が転がるように仏陀の教えが広まるのを祈るもの

005  ナーガ上の仏陀座像
高さ160cm幅71cm シュリーヴィジャヤ様式 12世紀末~13世紀
とぐろを巻いた蛇神ナーガの上に座る仏 ナーガが7つの鎌首をもたげて仏を守っている

006  アルダナーリーシュヴァラ座像 8~9世紀初
高さ69cm  両性具有 右男性 ヒンドゥー教シヴァ神 左女性 妃のパールヴァティー

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菩薩頭部 青銅 8~9世紀                   観音菩薩立像(部分) 砂岩
高さ74、5cm幅34、5cm奥行37cm            高さ158cm 12世紀末~13世紀初
                                    上半身に仏がびっしりと刻まれている

(スコータイ)

009  仏陀座像 青銅、金 15世紀
高さ120、5cm幅87、5cm奥行48cm

010  仏陀遊行像 14~15世紀
青銅 高さ154cm幅39cm奥行36cm 微笑みながらしなやかに歩み、遊行する像

(アユタヤー)

アユタヤー県ワット・ラーチャブーラナ寺院の大仏塔内から1万点の金製品が発見された

011  金象 金、貴石 15世紀初
高さ15、5cm幅16、5cm奥行18cm
黄金の象が四肢を伏せ、背中の輿に貴人が乗るのを待っている

012  金冠 金、貴石 15世紀初
高さ14cm幅13cm 髷の上にかぶせる豪華な冠

(シャム)

013  カティナ(功徳衣)法要図 1918年
縦68、5cm全長362cm  王が僧院に衣を献上する様子 兵の後方に長刀を持った日本人の義勇兵

(ラタナコーシン)

014  ラーマ2世王作の大扉 19世紀
バンコクの大寺院ワットスタットの金色の巨大な扉  ラーマ2世王が自ら彫ったとされる高さ約6mの
木製の扉には6層に及ぶ精緻な浮彫がされている
天まで伸びる木々には牡丹の花が咲き、マンゴーやザクロが実を付けている
蓮池には鹿や猿、猪、虎が、また鳥や虫が飛び、蛇やカエルも集まっている

015  仏伝図箔絵経棚(部分) 19世紀
金箔の経棚に描かれた仏教伝来の図

016  騎象仏陀三尊銀像 20世紀
白銀の象に座る3体の仏像  (展示では仏像の上の天蓋はありません)

017  仏陀涅槃像  青銅、金 19世紀
高さ88cm幅159、5cm 横浜の真言宗の寺、三會寺所蔵
三會寺の僧、釈興然は日本で初めて上座仏教の僧侶になり、招かれてタイに渡り、数十体の仏像と
経典を贈られ、日本に持ち帰った  涅槃像はその中の逸品

これらの他、沢山の仏像と銀貨や刀、金の靴などに加えて航海図や朱印状などが展示してありました。

タイは国民の90%以上が仏教徒で、信仰が暮らしに根付いています。そして日本の大乗仏教と異なり、
釈迦の教えを忠実に守り、出家と戒律を重んじる上座仏教が基盤です。
この展覧会では、タイ民族の明るい気質が反映された微笑む仏像、きらびやかな美しい仏像を拝見しました。

この展覧会は8月27日まで開催されています。































 












                                    

2017年7月29日 (土)

損保ジャパン日本興亜美術館・吉田博展

損保ジャパン日本興亜美術館で開催されている「吉田博展」を見てきました。

吉田博は明治9年久留米に生まれ、福岡の図画教師、吉田喜三郎に画才を見込まれて吉田家の
養子となり、上京して画塾、不同舎に入門し、「絵の鬼」と呼ばれるほど写生に打ち込みました。
水彩で、油彩で、木版画で、国内はもとより世界各地の風景を描いた作品が日本やアメリカ、ヨーロッパで
大好評を受けました。

展覧会では初期から晩年までの200点の作品が展示されています。
チラシと図録から一部ご紹介します。

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吉田博展 チラシ                         チラシ裏

(不同舎の時代)

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花のある風景                            冬木立
水彩 紙 32、8x49、4cm                  水彩 紙 50、6x66cm

005  雲叡深秋 油彩 カンバス
111x68、2cm  断崖の渓谷を流れる川が見事に描かれています

(外遊の時代)

明治26年にフランスから帰国した黒田清輝と久米桂一郎は、フランスで学んだ外光表現による滞仏作品を
発表して、熱狂的な歓迎を受け、白馬会の結成に繋がります。
これに対抗して明治32年に吉田博は中川八郎とアメリカに出発します。
この時、デトロイト美術館のグリフィス館長は二人の絵の質の高さに驚き、展覧会開催を申し出ました。
展覧会は大成功を収め、絵の売り上げは驚異的なものでした。(小学校教諭の13年分)
翌年はボストン美術館で展覧会を開き、デトロイトの倍以上の売り上げを手にしました。


006  鳥居の下の人々、花咲く日本の村
水彩 紙 

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グロスター  油彩 カンバス                 ポンシデレオン旅館の中庭
ボストン郊外の芸術村                     水彩 紙  フロリダのホテル

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ウインザー橋  水彩 紙                    ヴェニスの運河 油彩 カンバス
48x32、7cm                           39、5x50cm
ウインザー城が雨に霞んで描かれています

(画壇の頂へ)

帰国後、活気が失われた明治美術会を刷新し、太平洋画会を設立し白馬会に対抗します。

012 013
穂高山  油彩 カンバス                     富岳  油彩 カンバス
108、5x137cm                          45、6x60、3cm
本格的な登山をして描きました                  雲がかかる富士山と湖

011 014
池の鯉  油彩 カンバス                     バラ(5) 油彩 カンバス
112x69、5cm                           149、8x76、6cm

(木版画という新世界)

写実的で精緻な、詩情に溢れた木版画を作成しますが、吉田博は下絵描きであり、彫師、摺師と共に
渡邊庄三郎の監修の下にありました。

015 016
帆船 朝日  渡邊版 木版 紙               帆船 日中 渡邊版
45、5x33、2cm                        45、5x33、2cm
瀬戸内海に浮かぶ帆船、背景を空と海だけで描いています  詩情あふれる絵です
同じ版木を使い、色を変える別刷りの方法で作成

017  グランドキャニオン 油彩 カンバス
45、5x60、6cm  グランドキャニオンを見ての感動が表現されています

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モレーン湖 油彩 カンバス                   エル キャピタン 木版 紙
45、5x60、6cm                         37、4x25cm
                                  ヨセミテ渓谷 高さ1000mの花崗岩が圧倒的

渡邊版画店と袂を分かち、自らが版元となり、絵師となって創造の中核に座り、彫師や摺師を監修し、
「渓流」では彫りも自分で行いました。

020  マタホルン山 木版 紙 51x36cm
同じ版木を使って、マッターホルンの急峻な頂と、ふもとの村の昼と夜の景色を描きました

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スフィンクス 昼と夜 木版 紙 25x37、2cm

023  黒部川  木版 紙

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帆船 朝  木版 紙                       帆船 午前、午後 木版 紙
50、8x35、9cm  先の渡邊版、帆船と違い、自ら監修し、絵師となって堀師、摺師を指示し作成

026 027
雲井櫻 木版 紙 53、9x70、7cm             渓流 木版 紙 54、5x82、8cm
吉野山の桜                            水の流れや渦巻く水の複雑な動きがしっかりと
                                    表現されています

(新たな画題を求めて)

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フワテプールシクリ(王宮) 油彩 カンバス         タジマハルの庭 昼 夜 木版 紙
60、6x45、5cm                         24、7x37、5cm
4度目の海外旅行 インドの王宮の精緻な装飾を      タージマハルで満月を迎えられるよう旅程を組み、
画面いっぱいに表現                       夜景も写生できました

030  陽明門  木版 紙 37、9x24、8cm
彫刻や複雑な構造を表すため、96度もの工程を経て完成

(戦中と戦後)

031  急降下爆撃  油彩 カンバス
137x108、3cm
日本軍の戦闘機の戦闘場面  大地が転倒する視界の緊張感

これらの他、沢山の水彩画、油彩画、木版画や写生帖、スケッチなどが展示してありました。
「絵の鬼」と呼ばれた吉田博の確かな、多彩な技術と才能、それを実行する意志に感動しました。

この展覧会は8月27日まで開催されています。

 損保ジャパン日本興亜美術館
     東京都新宿区西新宿1-26-1  42階
         Tel 03-5777-8600








                         




















               























 












 












2017年7月11日 (火)

文京区教育センターで開催されている東大昆虫館

文京区教育センターで今「東大昆虫館」が開催されています。

東京大学総合研究博物館は文京区教育センターと共同で、貴重な昆虫標本を含め、鮮やかな色の蝶や
カブトムシ、クワガタムシなど、3700点の昆虫を展示しています。

写真撮影が可能でしたので、チラシと昆虫標本の写真をご紹介します。


033 034
東大昆虫館 チラシ                        チラシ裏
文京区教育センターは湯島天満宮と東京大学(医学部)、旧岩崎庭園に囲まれた一角にある新しい
建物です。 2階にある昆虫館は入場無料です。

032 031
文京区教育センター                      展示室 2階

001 002
ナナフシ他                             甲虫

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セミ、トンボなど                          トンボ、ウスバカゲロウなど

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昆虫以外の虫たち サソリ、ムカデなど             ガとチョウ

007 008
自然の力で飛来する昆虫                    渡りをする蝶 
                                  アサギマダラ  オオカバマダラ

009 010
カブトムシ                              クワガタムシ

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アゲハチョウ  大型

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ガラスの上だと羽の裏も見えます

019 020
カミキリムシ                            タマムシ、コガネムシなど

021 022
斑点のある蝶                           キチョウ

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アゲハチョウ                            ブータンシボリアゲハの仲間
ブータンシボリアゲハを観察に出かけた日本隊の記録映像が流されています。
ブータン国王夫妻が来日された時、この蝶が寄贈されました。

025 026
世界最大の蝶                           世界最大の蛾
アレクサンドラトリバネアゲハはサナギと共に

027 028
世界最長級の昆虫                        世界最重量級の昆虫

029 030
モルフォ蝶                              コノハムシ

これらの他、様々な昆虫標本や明治期の佐々木忠次郎博士のコレクションも展示されていました。


この展覧会は10月14日まで開催されています。

文京区教育センター
   東京都文京区湯島4-7-10
       Tel 03-5800-2591


































































                           




















2017年5月30日 (火)

バベルの塔

東京都美術館で開催されている「バベルの塔」展を見てきました。

オランダのボイマンス美術館が所蔵する、ブリューゲルの「バベルの塔」が24年ぶりに来日しました。
又、奇想の画家ヒエロニムス・ボスの傑作2点とブリューゲルの版画及び15、16世紀のネーデルラント
地方の板絵もあります。

チラシと図録から一部ご紹介します。

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「バベルの塔」展チラシ                      チラシ裏

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チラシ中上                             チラシ中下

ネーデルラントの彫刻が展示してありましたが、こちらは省略します。
バウツのキリストの肖像からご紹介します。

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キリストの頭部 ディーリク・バウツ         アレクサンドリアの聖カタリナの論争 ヤン・プロフォースト
1470年頃 油彩 板                    1520年頃 油彩 板
慈悲深い真摯なまなざしのキリストに          キリスト教信者の王女カタリナは皇帝と50名の学者を
人々は祈りをささげました                  論破しました
バウツのキリストは多くの画家の手本になりました

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風景の中の聖母子 ヘラルト・ダーフィット    ヨセフの衣服を見せるポテパルの妻 ルカス・ファン・レイデン
1520年頃 油彩 板                    1512年頃 油彩 板 
授乳の聖母が花や背景の風景とともに      妻が夫にヨセフの衣服を見せ、ヨセフに乱暴されそうになり、
詳細に描かれています                  追い払ったと言うが、実際は妻が言い寄っても
                                 ヨセフに相手にされなかった
                                 夫は妻の言葉を真に受け、ヨセフを牢に閉じ込める
                                 画面左上の窓に連行されるヨセフ

009  聖クリストフォロスのいる風景 ヘリ・メット・デ・ブレス
1540年頃 油彩 板
巨人が幼子を肩に担ぎ、強風の吹く激流を渡ろうとしている
途中あまりの重さに巨人は杖にすがりつくが、幼子はキリストで世界の重荷を背負っているから
キリストは巨人に「クリストフォロス(キリストを担ぐ者)」の名を授けた
港に山並みの見える広大な風景の中に巡礼者や浜に打ち上げられた巨大な魚が描かれています

010  ヒエロニムス・ボスの肖像 ヘンドリック・ホンディウス1世
1610年 銅版画
背後の枠の中に怪物や悪魔などが描かれています

011  放浪者(行商人) ヒエロニムス・ボス
1500年頃 油彩 板
後ろ髪をひかれながら娼婦のいる家を去る行商人の男 中の女が「寄らないの」と男を見ています
男の衣服は破れ、靴の片方はスリッパ 背中の籠には商品、猫の皮や杓も

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部分拡大 白鳥の看板(娼婦の家のしるし)             木の上にはフクロウと鳥
籠に猫の皮と杓

ヒエロニムス・ボスは最も独創的な画家で、奇妙な、奇抜な表現が随所に挿入されています
そして宗教画を描くこれまでの画家と異なり、風俗画を描きました

012  聖クリストフォロス ヒエロニムス・ボス
1500年頃 油彩 板
巨人の担ぐキリストの重さに杖がしなっています  奇妙な絵を拡大してみます

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壺の中の小人が灯りをともしたランタンを枝に掛ける   蜂蜜を採る小人

2_007  木の根元に繋がれた狐の死骸

2_009 2_008
男が熊を木に吊るしています                 ドラゴンと逃げる裸の男

014 015
樹木人間 ヒエロニムス・ボス                 聖クリストフォロスの誘惑 作者不詳
1590-1610年頃 銅版画                  1561年 銅版画
樹木人間の胴の祠で人が飲み食いをしています     聖クリストフォロスの前に奇怪な魚や鳥や
手前に座る3人が樹木人間を指さしています       蛙のようなものなど、奇怪な世界が広がっています 

028  ピーテル・ブリューゲル1世の肖像 ヨハネス・ウィーリクス
1572年 銅版画

016 017
聖アントニウスの誘惑 ピーテル・ブリューゲル1世   大きな魚は小さな魚を食う 
                                   ピーテル・ブリューゲル1世
1556年  銅版画                       1557年 銅版画
聖アントニウスは聖書を読んで(右下)全ての誘惑に  兵士が大きなナイフで魚の腹を切り開き、
打ち勝ちました                         小さな魚を取り出しています
                                   手前の船の父親が子供にこれを教えています 

018 019
最後の審判 ピーテル・ブリューゲル1世         石の切除 ピーテル・ブリューゲル1世
1558年                              1559年
中央のキリストが人類に審判を下しています      頭から石を切除して狂気を治します
上部には天国に行く人々                  偽医者が頭から取り出した石を掲げています
中断右には地獄の巨大な口                石は机の下にあり、石を持つ男の口は南京錠で
中断左から審判を受けに無数の人々が行列      閉じられています

020  農民の婚礼の踊り ピーテル・ブリューゲル1世
1570-1572年頃

021  バベルの塔 ピーテル・ブリューゲル1世
1568年頃 油彩 板  59、9x74、6cm
近寄ってみると、コロッセウムを巨大にしたような建造物に入口や窓、クレーンや足場などが詳細に描かれ、
極小の人が無数に働いています
この絵の中になんと1400人もの人々が細密に描き込まれています
人の身長を約170cmとするとこのバベルの塔は高さ510mもあるそうです
まさに雲を突く高さです

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バベルの塔 部分拡大

024 025
部分拡大
足場が無数に描かれています                漆喰を運んだ痕がついています
                                   人も真っ白です

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部分拡大
クレーンがありますが、当時は大きな車輪の中に    塔内に入る水路の入口にたくさんの船がいます
人が入って回していたそうです

ウイーン美術史美術館にもブリューゲルのバベルの塔があります。
こちらは 114x155cm で約2倍の大きさですが、このボイマンス美術館のバベルの塔の方がより緻密に
描かれているようです。

「AKIRA」などを描いた漫画家で映画監督の大友克洋氏が、原画を大胆に解釈した作品を発表しています。

029  INSIDE BABEL 大友克洋 デジタルプリント
90x110、5cm
バベルの塔に切り込みを入れた中央部分を新しい解釈で描きました
内部は空洞になっていて、塔の下には川が流れ、船が物資を運びます

大友克洋氏の「INSIDE BABEL」は都美術館の企画展示室入り口横ホワイエに展示してあります。

東京藝術大学のエントランスには3mを超える立体のバベルの塔が展示してありました。
これにプロジェクションマッピングが施され、塔の中を歩いている人々が見えます。

ブリューゲルの「バベルの塔」の壮大な構想と緻密な描写に圧倒されました。

この展覧会は7月2日まで開催されています。






































 










































2017年4月26日 (水)

国立新美術館・ミュシャ展

国立新美術館で開催されているミュシャ展を見てきました。

アルフォンス・ミュシャは華麗な女優のポスターなどでアールヌーヴォーを代表する画家ですが、晩年には
スラヴ民族の苦難と栄光の歴史を壮大なスぺクタルで描きました。

ミュシャはモラヴィア(現在のチェコ)に生まれ、少年のころ裁判所で書記として働きながら素描に励み、
22歳でクーエン・ベラシ伯爵のお抱え画家として働き、伯爵の援助でミュンヘン美術アカデミーに
留学します。27歳でパリに渡って活躍し、35歳の時に女優サラ・ベルナールの主演する戯曲「ジスモンダ」
のポスターが大評判となり、サラ・ベルナールとは6年の独占契約を結びます。
更に40歳の時に、ミュシャが手掛けたパリ万国博覧会のボスニア・ヘルツェゴビナ館の装飾が銀賞を
受賞し、41歳でレジオンドヌール勲章を受章しました。
晩年はチェコに戻り、50歳から16年をかけて「スラヴ叙事詩」全20点を完成させました。

チラシや雑誌、ポストカードから一部ご紹介します。

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ミュシャ展チラシ                          チラシ裏
絵は、スラヴ叙事詩①原故郷のスラヴ民族         絵は、ヒヤシンス姫
                                    バレエ「ヒヤシンス姫」のポスター
押し寄せる騎馬軍団におびえる二人の目が正面を向き、
鑑賞者をとらえます。祭司が神の加護を祈り、両脇の青年は防衛を、娘は平和を表す擬人像です。
近寄ってみると夜空は無数の点描で描かれています。

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チラシ 中左                             チラシ 中右

スラヴ叙事詩からご紹介します。
スラヴ叙事詩は、約6mx8mのサイズの絵が7点、他は約4mx5m、約6mx4mなどで、いずれも大画面に
壮大なスぺクタルが描かれています。

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スラヴ叙事詩②ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭   ③スラヴ式典礼の導入
民族の神スヴァントヴィート(中央上部)を讃える収穫祭  ローマ教皇の使節がモラヴィア王に対して
左上には狼を引き連れ、ゲルマンの戦神が迫る       スラヴ語の典礼を認める勅書を読み上げている
                                     下左では若者がスラヴ人の団結を示す輪を
                                     掲げています

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スラヴ叙事詩④ブルガリア皇帝シメオン1世         ⑤ボヘミア王プシェミスル・オタカル2世
シメオン皇帝が学者たちを集め、ビザンティンの文献を   中央のオタカル2世は姪とハンガリー王の
スラヴ語に翻訳させています                   息子の婚礼を行っています

009 010
スラヴ叙事詩⑧グルンヴァルトの戦いの後           ⑪ヴィートコフ山の戦いの後
ドイツ騎士団をポーランドとリトアニアの連合軍が      ローマ皇帝軍を破ったフス派の軍人ジシュカが
打ち破った後、戦場に現れたポーランド王           画面右に立っています

011 012
⑫ヴォドニャヌイ近郊のベトル・ヘルチツキー     ⑬フス派の王、ボジェブラディとクンシュタートのイジー
フス派と反フス派の戦いの後、平和主義と       教皇の使者の話を椅子を蹴倒して拒否するイジー
無抵抗主義を掲げるヘルチツキー

013 014
⑭二コラ・シュヴィッチ・ズリンスキーによるシゲットの   ⑮イヴァンチツエの兄弟団学校
対トルコ防衛                            聖書をチェコ語に翻訳し、印刷小屋の前で
オスマン帝国の大群がハンガリーに攻め込んだ時、    領主らが刷り上がりを確認しています    
防衛指揮官の妻が足場の上に立ち、松明を
火薬庫に投げ入れます
黒い帯状の色は爆発を暗示しています

015 016
⑯ヤン・アーモス・コメンスキーのナールデンでの最後の日々  ⑰聖アトス山
スラヴの兄弟団を背負い各地を放浪したコメンスキーが     アトス半島の聖堂に描かれた巨大な
オランダの海辺で終焉を迎えています              聖母子がアトスの四つのスラヴ系修道院の
                                    模型を持つ天使たちを見守っています

017 018
⑱スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い   ⑲ロシアの農奴制廃止
中央の菩提樹に腰かけているのは女神スラヴィア       ロシアの農奴制廃止の勅令が読み上げられた 
その下で民族主義団体、オムラジナの若者たちが       直後のモスクワ赤の広場
結束を誓っています 左前景のハープを奏でる少女は
ミュシャの娘、右前景の裸の少年は息子イジー

019  ⑳スラヴ民族の賛歌
スラヴ民族の勝利を、時代を象徴する4色で描いています
右下の青はスラヴの神話時代  画面上奥の赤は中世、ヤン・フスらの英雄たち
その手前の黒い影は抑圧された時代と民族の敵を表しています
画面中央の黄色はハプスブルグの支配から解放された喜び、未来への希望と栄光が表されています
第一次世界大戦で勝利した連合軍の旗がひらめき、菩提樹の枝を掲げ、花環を運んで自由と平和と
団結を謳歌しています  新生チェコを象徴する、両手を大きく広げた青年が描かれ、背後には祝福する
キリスト

スラヴ民族の歴史を表した20点の大作の中からご紹介しました。
次にアールヌーボーを代表する芸術家としての名声を確立したポスターをご紹介します。

020 021
サラ・ベルナール                         ジスモンダ
百合の花のティアラを付けたサラ・ベルナールを      アテネの公妃ジスモンダがシュロの葉を持つ
描いたポスター                          クライマックスシーン
                                    ミュシャが初めて描いたポスター
                                    主演女優のサラ・ベルナールが感激し、6年間の
                                    独占契約が結ばれました
                                    このポスターがパリ中にセンセーションを
                                    巻き起こした

022 023
メディア                               トスカ
サラ・ベルナール主演の舞台「メディア」のポスター     サラ・ベルナール主演「トスカ」のポスター
エウリピデスのギリシャ悲劇
夫の裏切りに我を忘れ、自分の子を手にかける
メディアの狂気

024  装飾パネル「四つの花」
左から カーネーション、ユリ、バラ、アイリス  擬人化された花で表されています

025  蛇のブレスレットと指輪
「メディア」の舞台ポスターでミュシャが描いていた左手に巻き付く蛇を見て、サラ・ベルナールが
宝飾店に造らせました

026 027
黄道十二宮                             ビザンティン風の頭部「ブルネット」
女性の横顔を十二星座の象徴が取り囲む          華やかな髪飾りを付けたビザンティン風の女性

028 030
スラヴの連帯                            10コルナ紙幣
市民会館市長の間の天井画                   ミュシャはチェコスロヴァキア共和国の建国に
鷹(ソコル)の周りを樹木とスラヴの諸民族が囲む      際し紙幣や切手をデザインした

これらポスターの他、ミュシャは酒や煙草、菓子などのラベルや箱のデザインを手掛け、ベル・エポック期を
代表する傑作を次々と生み出していきました。

アルフォンス・ミュシャの華麗なポスターやデザイン、さらにスラヴ叙事詩の壮大な絵画に加えてこれらを
生み出すミュシャの途方もないエネルギーに感動しました。

この展覧会は6月5日まで開催されています。











































































 



2017年4月14日 (金)

東京国立近代美術館・茶碗の中の宇宙

東京国立近代美術館で開催されている楽家の茶碗展を見てきました。

楽家初代、長次郎は中国・明より三彩陶の技術を伝えた渡来人、阿米也の子供で、田中宗慶の孫娘を
妻とし、宗慶らと陶器の窯を営んでいました。
千利休に依頼され、「侘茶」の美意識を具現化する、黒一色の茶碗や赤土による自然な土の色を持つ茶碗を
造り、新たな価値基準を打ち出しました。
これにより豊臣秀吉より「楽」の印を賜り、楽家を名乗ることになりました。

楽茶碗は轆轤や型を使わず、一つ一つ手捏ねと箆削りによって造り、一椀ずつ窯に火を起こして焼きます。
そしてこの奥義は一子相伝で、楽家の代を継ぐ子供一人だけに伝えられます。
初代長次郎より現在の十五代まで450年間、この製法が継承されてきました。

展覧会では初代長次郎をはじめ、歴代の重要な作品が一挙に公開されています。
チラシと図録から一部ご紹介します。

001 002
「茶碗の中の宇宙」チラシ                    チラシ裏

003 004
二彩獅子 初代長次郎 重要文化財              黒楽茶碗 銘「大黒」 初代長次郎 重要文化財
今にも飛び掛かってきそうな獅子               獅子に見られる力動感や装飾性を削ぎ落した
長次郎は激しい気迫を持った陶工でした           侘びの世界です           
                                    
005 006
赤楽茶碗 銘「無一物」 初代長次郎 重要文化財    赤楽茶碗 銘「太郎坊」 初代長次郎 重要文化財
「無一物」の銘は装飾や情緒など、すべてを削ぎ落した   「聚楽土」の土を使って焼き、赤色は
志向性を表しています                       火の中で土が酸化した色です

007 008
黒楽茶碗 銘「万代屋(もずや)黒」 初代長次郎            「万代屋黒」 高台
この茶碗が利休の娘の婿、万代屋宗安に伝わり、万代屋家の黒茶碗として「万代屋黒」と呼ばれるように
なったと言うことです  高台までも真っ黒に塗り、覚悟のほどが示されています
009  三彩瓜文平鉢 初代長次郎
楽焼のルーツ、中国明時代の三彩を長次郎が制作したものです

010 011
三彩獅子香炉 田中宗慶                     黒楽茶碗 銘「天狗」 田中宗慶
                                    胴部、口部を沓形にゆがめています

012 013
黒楽茶碗 銘「黒木」 二代常慶                香炉釉井戸形茶碗 二代常慶
沓形の平茶碗です                        手捏ねの井戸形白楽茶碗
二代常慶は田中宗慶の次男

014 015
黒楽茶碗 銘「青山」 三代道入 重要文化財        赤楽茶碗 銘「鵺」 三代道入 重要文化財
装飾性を持ち込んだ革新的な作品               茶碗の胴部に見える黒い景色を「鵺」に見立てて
                                     銘を付けました

016  二彩鶴首花入 三代道入
黄釉と緑釉をランダムに、無作為に掛け、手捏ねによる歪んだ形と相俟って味わいのある花入れです

017 018
黒楽茶碗 銘「雨雲」 本阿弥光悦 重要文化財     赤楽茶碗 銘「乙御前」 本阿弥光悦 重要文化財
本阿弥光悦は二代常慶に手ほどきを受けて、楽家の窯で茶碗を焼きました
乙御前はお多福のことだそうです 上から見た姿が膨らんでいて、お多福に見えるそうです

019  赤楽茶碗 銘「つるし柿」 四代一入
一入は父、道入から学び装飾的な作風で、黒楽茶碗に人物像などを描いています

020  黒楽茶碗 銘「梅衣」 五代宗入
幼い時から楽家に養子に入り、一入の娘を妻にしました 初代長次郎に近い作風です

021  黒楽筒茶碗 銘「ヒヒ」 六代左入
五代宗入の娘婿  「ヒヒ」は霏々、細やかに雪や雨が降る様子を言うそうです

022  赤楽茶碗 七代長入
聚楽土の土に貫入が入る釉薬を掛けているそうです

023  亀之絵黒楽茶碗 銘「萬代の友」 八代得入
亀の絵が斬新です

024  白楽筒茶碗 九代了入
大胆な箆削りによるモダンな白楽茶碗です

025  不二之絵黒楽茶碗 十代旦入

026 027
貝貼浮文白楽茶碗 銘「潮干」 十一代慶入        「潮干」 見込みの貝
見込みには釉薬を掛けず、貝や石のレリーフを置き、海浜の趣きです

028  黒楽茶碗 銘「羅漢」 十二代弘入

029 030
黒楽茶碗 銘「八千代」追銘「花筵」 十三代惺入      八景絵象耳花入 十三代惺入
口辺は輪花状に造り、胴部を削って朱釉も掛けた     近江八景の絵が描かれています
斬新な作品です

031 032
富士之絵黒楽茶碗 銘「晨明」 十四代覚入         色釉流水文赤楽平茶碗 銘「綵衣」 十四代覚入
雄大な富士山が描かれています                平茶碗に色釉を使って流水文を描いています
                                    流水文を天の川に見立て、織姫が織った「綵衣」
                                    を銘としています 

033 034
黒楽茶碗 銘「三星在遇」 吉左エ門(十五代)       赤楽茶碗 銘「野桃」 吉左エ門
現在の十五代吉左衛門は伝統的な楽焼の上に独自の表現を試みる姿勢と、楽焼の約束事をひっくり返し、
これまでに見たことがないような茶碗を造り、新たな発見をしていく姿勢があるようです

035  黒楽茶碗 篤人 (次期十六代)

036 037
焼貫黒楽茶碗 銘「暘谷」 吉左エ門(十五代)       焼貫黒楽茶碗 銘「砕動風鬼」 吉左エ門
これまでの楽茶碗にない、前衛的な茶碗です        金彩、銀彩も使った装飾の極限
箆で潔く削ぎ落し、赤と黒の対比が鮮やか          「砕動風鬼」は鬼の姿をしていても心は
「暘谷」は太陽の昇る谷間を表すそうです          人の意味だそうです

038 039_2
焼貫黒楽筒茶碗 銘「痩蛟舞」 吉左エ門          巌上に濡洸ありⅢ 焼貫黒楽茶碗
形も風合いも茶碗というより前衛芸術作品です       銘「巌裂は苔の露路老いの根を嚙み」 吉左エ門  
                                    吉左エ門自作の詩「巌上に濡洸あり」をテーマ
                                    とするシリーズの3作目

450年続く楽家の伝統の重みをずっしりと感じましたが、十五代吉左エ門の非装飾の対極までの極限的な
挑戦に驚きました。

この展覧会は5月21日まで開催されています











































































































  

2017年3月10日 (金)

深大寺「厄除元三大師大祭」とだるま市

3月4日に深大寺の「元三大師大祭」、だるま市を見て来ました。

深大寺は正式には 浮岳山昌楽院深大寺 といい、733年に満功上人が法相宗の寺院として、
水の神である「深沙大王」を祀る寺として開創しました。
平安時代になると天台宗の高僧、恵亮和尚を迎え、和尚の功績により寺領が拡がり、天台宗に改まります。
更に、天台宗第十八代座主慈恵大師大僧正の自刻像が比叡山から深大寺に遷座しました。
慈恵大師が正月三日に入滅されたので、「元三大師」と称せられました。

毎年3月3、4日に「厄除元三大師大祭」、だるま市が開かれています。

037 038
深大寺パンフレット                         深大寺散策マップ

001  深大寺東参道
調布駅からバスで渋滞を避けて小学校前で降り、小学校の手前を左に入り、東参道を行きます。

002 003
すぐに不動の滝が見えてきます 東京の名水57選に選ばれている湧き水です

004 005
参道の屋台                              庫裡東門

017 007
山門  境内で最古の建造物

009 010
本堂  本尊は宝冠釈迦如来

006 008
境内はだるま市の屋台でいっぱいです  およそ300店

011 012
だるまに目を入れてもらう、だるま開眼所も行列です。片方の目に梵字の「阿」を書いてもらいます。

009  だるまに「阿」の字を入れてもらいました
1年後願いが叶ったら、だるまの右目に「吽」の字を入れ、寺に納めます

018 022
本堂の脇にムクロジの木があります。              こちらはなんじゃもんじゃの木
今は葉もありませんが、木の実は非常に硬く、       4月末から5月初めに白い花をつけます
羽根付きの玉になります                     雪を被ったように見えます

020 021
閼伽堂の水  こちらも湧き水です  仏前に備える水として使われます

013  元三大師堂
慈恵大師自刻の元三大師像が安置されています。

014 015
釈迦堂 (階段の上)                      堂内の「銅造釈迦如来像」

001_2  銅造釈迦如来像 重要文化財 飛鳥時代
通称白鳳仏 関東では最も古い仏像です。(展覧会のポストカードより)

005_2  開山堂
  開基 満功上人が祀られています。

003_2  延命観音 慈恵大師自刻の観音が祀られています

026 027
深沙大王堂  満功上人の父が深沙大王に救われ、上人が深大寺を建立し、深沙大王を祀りました                           

039  深沙大王像
                             
024 028
境内の梅

025  唐辛子屋

031 032
蕎麦屋  境内と周りにはたくさんのそば屋があります      水車 そば粉を引く

006_2 034
鐘楼                                  不動堂

山門に続く参道にはたくさんの店が並んでいます

033  嶋田家  神代そばの元祖
美味しいそばをいただきました。

035 036
鬼太郎茶屋                             パンフレット

午後2時から「お練り行列」でクライマックスを迎えます

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庫裡東門より、お練り行列を先導する講中の人たち        お坊さんのお練り行列 
山門を入り元三大師堂で元三大師御影供が執り行われ、天台宗に伝わる声明がおごそかに唱えられます。

深大寺のはるかな歴史に思いをはせながら、寺を後にしました。









































  























































































2017年3月 6日 (月)

春日大社千年の至宝展

東京国立博物館・平成館で開催されている「春日大社千年の至宝」展を見て来ました。

奈良の春日大社は全国3000分社の総本山です。768年創設以来、20年に一度の式年造替を1200年
繰り返してきました。
第60回目となる今回は、一の鳥居から始まり、幣殿、直会殿、中門などの改修、塗り替え、檜皮屋根の
葺き替えを行い、昨年の10月に国宝本殿の朱の塗り替え修理と檜皮屋根の葺き替えを行って完了し、
11月6日にご神体が仮殿から本殿に戻る正遷宮が行われました。

この節目の時に、春日大社に伝来する神宝と名品を大規模に展観しています。

チラシと図録などから一部ご紹介します。

001 002
春日大社千年の至宝 チラシ                    チラシ裏

003 004
チラシ 中左                            チラシ 中右

1、神鹿の杜

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鹿島立身影図 南北朝~室町時代             鹿島立身影図 南北朝時代
武甕槌命(たけみかづちのみこと)が常陸国鹿島より   経津主命(ふつぬしのみこと)と武甕槌命   
鹿に乗って春日の地に着いた図

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春日鹿曼荼羅 鎌倉時代                   春日神鹿御正体 重要文化財 南北朝時代
鹿の鞍の上の榊の枝に右から文殊菩薩、釈迦如来、  高さ108、8cm 飛雲に鹿が乗り背の榊の板に
薬師如来、地蔵菩薩、十一面観音菩薩           中央阿弥陀如来、右上から薬師如来、文殊菩薩、
                                    十一面観音菩薩、地蔵菩薩

040  鹿図屏風 江戸時代 高さ180㎝、幅10m以上(左右合わせて)
上は左  鹿はほぼ原寸大 左18頭、右12頭、合計30頭描かれています

2、神宝類

春日大社は「平安の正倉院」と呼ばれ、国宝の古神宝が多く伝わります。
宝物殿などに国宝352点、重要文化財970点が収められています。

009 010_2
蒔絵箏 国宝 平安時代 全長152、7cm         クローズアップ 蒔絵箏
金、銀、銅の蒔絵による大きな流水文に鳥や蝶、花が描かれています。

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復元模造 蒔絵箏                        クローズアップ
昭和55年に復元されました。  優美で華麗な蒔絵が復活しました。

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金地螺鈿毛抜形太刀  国宝 平安時代 総長96、3cm      クローズアップ
全体に金粉が蒔絵され、竹と猫と雀の絵が螺鈿で表されています。 猫が雀を追いかけ、雀を
食べています。柄や鞘に細かい彫金が施されていますが、この金具類が古代の最高純度の金無垢
(22~23金)であることが判明しました。


3、春日信仰

016 017
春日宮曼荼羅  重要文化財 鎌倉時代         地蔵菩薩立像 重要文化財 鎌倉時代 
二の鳥居の左上に本殿があります。            像高97、3cm 雲に乗り、右足を前に踏み出して              
絵の上部には右から若宮の文殊菩薩、釈迦如来、    います
薬師如来、地蔵菩薩、十一面観音菩薩

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十一面観音菩薩立像 鎌倉時代 像高46、7cm     文殊菩薩騎獅像および侍者立像 重要文化財
                                    鎌倉時代 獅子に乗る文殊菩薩、手綱を引く
                                    優填王、合掌する善財童子ら
                                    高さ 文殊菩薩48、9cm、優填王70、5cm

020 021
四方殿舎利厨子  重要文化財 木製 室町時代     春日宮曼荼羅彩絵舎利厨子 木製、室町時代
神鹿の背の榊の枝に御正体                  宮殿型厨子 扉右に愛染明王、左 不動明王
扉内側に地蔵十王像や真言八祖像ら            正面壁には御蓋山、春日山と春日野の景観

022  春日権現験記絵(春日本)巻一 江戸時代
春日の神が橘氏の女に憑依してお告げを述べています

023 024
春日権現験記絵(春日本)巻十二 江戸時代        春日権現験記絵(春日本)巻十二
興福寺の蔵俊が夢で春日本社の四神が興福寺の     東大寺の恵珍が春日大社の一の鳥居近くで
開かずの門を入るのを見た                   牛車に乗る地蔵の姿をした第三殿と
                                    それを取り巻く神官や鹿を見た

4、奉納された武具

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赤糸威大鎧(梅鶯飾) 国宝 鎌倉時代          赤糸威大鎧(竹虎雀飾) 国宝 鎌倉~南北朝時代
金物の飾りに、梅に鶯や蝶の透かし彫り          全体を緋色の鮮烈な赤糸で威す
兜の正面には獅子の顔                     竹林の雀と虎の透かし彫り
                                    雀は合計96羽

028 029
黒韋威伊予札胴丸  国宝 南北朝~室町時代      黒韋威胴丸  国宝 南北朝~室町時代
胴丸は元来歩兵用の胴のみだったが、兜と袖を加え、   金物に枝菊文
軽快な甲冑になった 金物の中央に大きな菊座

5、神々に捧げる芸能

031  舞楽面 納曽利 重要文化財 平安時代
春日若宮の祭りで奉納される舞楽に使われます。舞う時に目と顎が動かせますが、下顎と目が紐で
結ばれていますので、下顎を動かすと目も動きます。

030  太鼓(複製) 昭和51年 高さ6、5m
舞楽に用いる楽器 胴の前後に牛革の鼓面を取り付け、中央に三巴文、胴の周囲に火焔宝珠で装飾
左は龍、右は鳳凰を飾り、上部には太陽と月 

6、春日大社の式年造替

033  絵馬 室町時代  神事の際に奉納される馬を描いている
現在の絵馬の起源 

034 035
御間塀  神馬牽引図                      御間塀  獅子牡丹図
本殿の社殿をつなぐ塀(御間塀)に描かれた絵 昭和50年に造られたもので、今回の造替で撤下されました

036  瑠璃灯籠 (鎌倉時代の物の複製)
灯籠の周りに青いビーズを連ねて張っている。灯りを入れると青く輝く
青いビーズの瑠璃玉が1基6面に約2万個  今回5基を新調

春日大社境内には2000基の石灯籠と、回廊の1000基の釣り灯籠ががあります。
8月14、15日の中元万灯籠では、これら全ての灯籠に灯りがともされ、無病息災や被災地の復興が
祈願されます。

039  本殿
右から 第一殿 武甕槌命 第二殿 経津主命 第三殿 天児屋根命 第四殿 比売神

深く明るい本朱で塗ってあります。 一般の神社では鉛系の鉛丹7割と酸化鉄系のベンガラで塗りますが、
春日大社の本殿は全て本朱です。

春日大社に伝来する数々の神宝類や絵画や彫刻をじっくりと拝見し、1200年、とこしえに続く造替の意味と
大切さがわかりました。

この展覧会は3月12日まで開催されています。







































































                           

















                                    

2017年2月14日 (火)

迎賓館赤坂離宮

迎賓館赤坂離宮を見学してきました。

迎賓館は通常は事前の予約が必要ですが、1月5日から2月28日までは予約なしで、当日見学料金を
払って入場することができます。(和風別館は事前予約が必要です)
又、2月14日まで「朝日の間」が特別公開されています。

写真撮影が可能な外観と、本館の中はパンフレットから一部ご紹介します。

並んで西門から本館の2階に入ります。

018  「彩鸞の間」
この部屋は来客の控えの間や晩餐会の招待客が国賓に謁見する時などに使われます。
白い天井と壁は金箔が施された石膏の鎧、兜、剣などの浮彫で装飾され、10枚の鏡が部屋を広く見せています。
左右の大きな鏡の上と暖炉の両脇に、鸞(らん)という鳥(鳳凰の一種)をデザインした浮彫があります。

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東壁面  暖炉の両脇に鸞                   鎧兜とスフィンクス
壁面に花輪や月桂樹など

019  「花鳥の間」
広さが300平方メートルある大きな部屋で、主に国、公賓主催の公式晩餐会が催される大食堂です。
天井の36枚の油絵や欄間のゴブラン織り、壁面に飾られた30面の七宝に花や蝶が描かれています。
シャンデリアはフランス製で重量は迎賓館の中で最も重く、1125kgもあります。

025  七宝焼 「ジョウビタキに牡丹」 涛川惣助作
牡丹が鮮やかです。涛川惣助さんの無線七宝が30面に飾られています。

廊下を回って「彩鸞の間」の向かい側の大ホールに来ました。
ここから玄関から続く中央階段が見られます。

016  中央階段
床はイタリア産の大理石の上に赤いじゅうたんが敷かれ、階段の左右の壁はフランス産の大理石。
欄干の上に8基の黄金色の大燭台が据え付けられています。
階段下の正面玄関から階段を上がってくると2階の大ホールに着きます。

017  2階大ホール
大ホールの正面左に「絵画」、右に「音楽」と題した小磯良平の油絵がかけられています。
紫の模様が美しい8本の大きなコリント様式の円柱はイタリア産の大理石です。
(パンフレットの折り目で少し写真が歪んでいます。すみません)

020  「朝日の間」
この部屋は国、公賓用のサロンで、表敬訪問や首脳会談が行われます。
天井に大きな絵が描かれ、周囲の16本のピンクの円柱はノルウェー産の大理石です。
壁には京都西陣の金華山織の織物が掛けられ、床には桜の花を織り出した緞通が敷かれています。

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「朝日の間」の天井画                      壁にある京都西陣の金華山織
朝日を背にして女神オーロラが4頭立ての白馬の     アネモネをデザイン
車に乗って天空を駆ける姿

021  「羽衣の間」
謡曲「羽衣」を描いた300平方メートルの大絵画が天井に描かれています。
最も大きな部屋で、歓迎行事を行ったり、レセプションや会議場として使用されます。
3基のシャンデリアは最も豪華なもので、およそ7000個もの部品で組み立てられているそうです。
重さは約800キログラム。壁は楽器、楽譜などをあしらった石膏の浮彫で飾られています。

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「羽衣の間」の天井絵                       レリーフ
                                    楽器や楽譜、仮面などが組み合わされています 

素晴らしく豪華な部屋を拝見しました。名残惜しく本館を出て、庭に向かいます。

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本館脇の円塔                           南面の大円柱 24本

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南面                                 噴水

015  南面 外観 (パンフレット)

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正面 右脇                             屋根に天球儀と金色の霊鳥

007  屋根の甲冑

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正面両脇のレリーフ                       正面玄関 入口の扉の装飾

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正面 門の鉄柵                          正面 外観

011  迎賓館 全景 下は和風別館

迎賓館赤坂離宮  東京都港区元赤坂2丁目1番1号
             Tel 03-3478-1111

元、紀州徳川家の江戸屋敷があったところに、1909年東宮御所として日本で唯一のネオバロック様式の
西洋風宮殿建築が建設されました。
敷地11万7千平方メートル  建坪5170平方メートル 
建物 幅125m 奥行89m 高さ23、2m
1968年から赤坂離宮を改修し、和風別館の建設と合わせて1974年に現在の迎賓館赤坂離宮が完成。
2009年、本館、正門、主庭、噴水池などが国宝に指定されました。

素晴らしい宮殿を拝見させていただきました。


























































  




2017年1月27日 (金)

帝釈天彫刻ギャラリー

正月の柴又七福神めぐりで、帝釈天の彫刻ギャラリーを拝見しました。

帝釈天(題経寺)の帝釈堂の内外には数多くの木彫が施されていますが、特に帝釈堂内陣の外側にある
10枚の胴羽目彫刻は「法華経」の説話から選んだ題材をもとにして彫刻されました。

これは十六世観明院日済上人が発願し、10数年の歳月をかけて完成しました。
先ず木彫師加藤寅之助が「法師守護の図」を大正11年に完成させ、残りの9枚を東京在住の名人彫刻師に
依頼し、途中関東大震災により、欅材を焼失したりしましたが、昭和9年にようやく完成したものです。

002  題経寺帝釈堂

先ず、帝釈堂内陣の胴羽目彫刻「法華経説話」10枚を見ます。

003  法華経説話 塔供養の図  金子光清作
仏の眉間から光が放たれ、国土が照らされると、さかんに塔供養が行われます

005 006
法華経説話 三車火宅の図 木嶋江運作            三車部分クローズアップ
燃える家から子供たちを救出する為に羊、鹿、牛
が引く三車を用意します

008 009
慈雨等潤の図  石川信光作                 雷神、風神部分クローズアップ
仏の慈悲深い教えは地上を潤す雨と同じ
雷神と風神が現れて雨を降らし、大地には緑があふれ花が咲きます

010 011
法師修行の図 横谷光一作                    普賢菩薩部分クローズアップ
法師は森の中や洞窟の中で修行しています
その修行者を励ますため仏が現れたり、象に乗った普賢菩薩が姿を現します

012 013
多宝塔出現の図 石川銀次朗作                 多宝塔部分クローズアップ
「法華経」を信仰するところでは多宝塔が地面から
湧き出してきて人々の信仰をほめたたえます 人々は歓喜して塔を礼拝します

014 015
千載給仕の図 加府籐正一作                  仙人部分クローズアップ
仙人が「法華経」という尊い教えを持っていました
この仙人について千年の間、水を汲み、薪を拾い、果物の実を採るなどして仕えました

016  龍女成仏の図 山本一芳作
「法華経」では女性が成仏できることを示しています
龍王の娘が多くの教えを理解し、不動の境地に達し、波の上で宝珠を仏に捧げています

017 018
病即消滅の図 今関光次作                   病の人部分クローズアップ
病にかかった人が「法華経」を聞く幸運に恵まれたら、
たちどころに病は治り、不老不死の境地を得ることができます

019 020
常不軽菩薩受難の図 小林直光作               迫害を受ける菩薩部分クローズアップ
常不軽菩薩は「常に人を軽蔑しない」という修行を
していたが、かえって迫害を受けました 「法華経」は闇に光を得たように救いの道を示します

022 023
法師守護の図 加藤寅之助作                 法師を守護する阿修羅部分クローズアップ
法師は「法華経」を保つことを誓い、読み、誦して
解き明かし、経文を書写して「法華経」を広めます 修行する法師を天人も阿修羅も協力して守護します

この10枚の胴羽目彫刻は縦1、27m、横2、27m、厚さ20cmの立派な欅材から、木彫師が彫り出した
浮彫図です。見事なものです。

胴羽目彫刻の他、内陣の最上段には十二支の図が彫られ、その下に天人図、法華経説話彫刻の下に
千羽鶴図が彫刻されています。
一部ご紹介します。

021 024
十二支図  牛                           十二支図  猪

007 027
天人図                               天人図

004 028
千羽鶴図                               千羽鶴図

025 026
堂の角には獅子と龍の彫刻                  窓枠には龍の彫刻


更に階下には花鳥図と最下段に亀図が彫刻されています。
これ等の内、千羽鶴図、花鳥図、亀図は千葉県の高石仙蔵師により彫られたそうです。

名人彫刻師たちの傑作を堪能しました。

























 











































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