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2017年4月14日 (金)

東京国立近代美術館・茶碗の中の宇宙

東京国立近代美術館で開催されている楽家の茶碗展を見てきました。

楽家初代、長次郎は中国・明より三彩陶の技術を伝えた渡来人、阿米也の子供で、田中宗慶の孫娘を
妻とし、宗慶らと陶器の窯を営んでいました。
千利休に依頼され、「侘茶」の美意識を具現化する、黒一色の茶碗や赤土による自然な土の色を持つ茶碗を
造り、新たな価値基準を打ち出しました。
これにより豊臣秀吉より「楽」の印を賜り、楽家を名乗ることになりました。

楽茶碗は轆轤や型を使わず、一つ一つ手捏ねと箆削りによって造り、一椀ずつ窯に火を起こして焼きます。
そしてこの奥義は一子相伝で、楽家の代を継ぐ子供一人だけに伝えられます。
初代長次郎より現在の十五代まで450年間、この製法が継承されてきました。

展覧会では初代長次郎をはじめ、歴代の重要な作品が一挙に公開されています。
チラシと図録から一部ご紹介します。

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「茶碗の中の宇宙」チラシ                    チラシ裏

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二彩獅子 初代長次郎 重要文化財              黒楽茶碗 銘「大黒」 初代長次郎 重要文化財
今にも飛び掛かってきそうな獅子               獅子に見られる力動感や装飾性を削ぎ落した
長次郎は激しい気迫を持った陶工でした           侘びの世界です           
                                    
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赤楽茶碗 銘「無一物」 初代長次郎 重要文化財    赤楽茶碗 銘「太郎坊」 初代長次郎 重要文化財
「無一物」の銘は装飾や情緒など、すべてを削ぎ落した   「聚楽土」の土を使って焼き、赤色は
志向性を表しています                       火の中で土が酸化した色です

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黒楽茶碗 銘「万代屋(もずや)黒」 初代長次郎            「万代屋黒」 高台
この茶碗が利休の娘の婿、万代屋宗安に伝わり、万代屋家の黒茶碗として「万代屋黒」と呼ばれるように
なったと言うことです  高台までも真っ黒に塗り、覚悟のほどが示されています
009  三彩瓜文平鉢 初代長次郎
楽焼のルーツ、中国明時代の三彩を長次郎が制作したものです

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三彩獅子香炉 田中宗慶                     黒楽茶碗 銘「天狗」 田中宗慶
                                    胴部、口部を沓形にゆがめています

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黒楽茶碗 銘「黒木」 二代常慶                香炉釉井戸形茶碗 二代常慶
沓形の平茶碗です                        手捏ねの井戸形白楽茶碗
二代常慶は田中宗慶の次男

014 015
黒楽茶碗 銘「青山」 三代道入 重要文化財        赤楽茶碗 銘「鵺」 三代道入 重要文化財
装飾性を持ち込んだ革新的な作品               茶碗の胴部に見える黒い景色を「鵺」に見立てて
                                     銘を付けました

016  二彩鶴首花入 三代道入
黄釉と緑釉をランダムに、無作為に掛け、手捏ねによる歪んだ形と相俟って味わいのある花入れです

017 018
黒楽茶碗 銘「雨雲」 本阿弥光悦 重要文化財     赤楽茶碗 銘「乙御前」 本阿弥光悦 重要文化財
本阿弥光悦は二代常慶に手ほどきを受けて、楽家の窯で茶碗を焼きました
乙御前はお多福のことだそうです 上から見た姿が膨らんでいて、お多福に見えるそうです

019  赤楽茶碗 銘「つるし柿」 四代一入
一入は父、道入から学び装飾的な作風で、黒楽茶碗に人物像などを描いています

020  黒楽茶碗 銘「梅衣」 五代宗入
幼い時から楽家に養子に入り、一入の娘を妻にしました 初代長次郎に近い作風です

021  黒楽筒茶碗 銘「ヒヒ」 六代左入
五代宗入の娘婿  「ヒヒ」は霏々、細やかに雪や雨が降る様子を言うそうです

022  赤楽茶碗 七代長入
聚楽土の土に貫入が入る釉薬を掛けているそうです

023  亀之絵黒楽茶碗 銘「萬代の友」 八代得入
亀の絵が斬新です

024  白楽筒茶碗 九代了入
大胆な箆削りによるモダンな白楽茶碗です

025  不二之絵黒楽茶碗 十代旦入

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貝貼浮文白楽茶碗 銘「潮干」 十一代慶入        「潮干」 見込みの貝
見込みには釉薬を掛けず、貝や石のレリーフを置き、海浜の趣きです

028  黒楽茶碗 銘「羅漢」 十二代弘入

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黒楽茶碗 銘「八千代」追銘「花筵」 十三代惺入      八景絵象耳花入 十三代惺入
口辺は輪花状に造り、胴部を削って朱釉も掛けた     近江八景の絵が描かれています
斬新な作品です

031 032
富士之絵黒楽茶碗 銘「晨明」 十四代覚入         色釉流水文赤楽平茶碗 銘「綵衣」 十四代覚入
雄大な富士山が描かれています                平茶碗に色釉を使って流水文を描いています
                                    流水文を天の川に見立て、織姫が織った「綵衣」
                                    を銘としています 

033 034
黒楽茶碗 銘「三星在遇」 吉左エ門(十五代)       赤楽茶碗 銘「野桃」 吉左エ門
現在の十五代吉左衛門は伝統的な楽焼の上に独自の表現を試みる姿勢と、楽焼の約束事をひっくり返し、
これまでに見たことがないような茶碗を造り、新たな発見をしていく姿勢があるようです

035  黒楽茶碗 篤人 (次期十六代)

036 037
焼貫黒楽茶碗 銘「暘谷」 吉左エ門(十五代)       焼貫黒楽茶碗 銘「砕動風鬼」 吉左エ門
これまでの楽茶碗にない、前衛的な茶碗です        金彩、銀彩も使った装飾の極限
箆で潔く削ぎ落し、赤と黒の対比が鮮やか          「砕動風鬼」は鬼の姿をしていても心は
「暘谷」は太陽の昇る谷間を表すそうです          人の意味だそうです

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焼貫黒楽筒茶碗 銘「痩蛟舞」 吉左エ門          巌上に濡洸ありⅢ 焼貫黒楽茶碗
形も風合いも茶碗というより前衛芸術作品です       銘「巌裂は苔の露路老いの根を嚙み」 吉左エ門  
                                    吉左エ門自作の詩「巌上に濡洸あり」をテーマ
                                    とするシリーズの3作目

450年続く楽家の伝統の重みをずっしりと感じましたが、十五代吉左エ門の非装飾の対極までの極限的な
挑戦に驚きました。

この展覧会は5月21日まで開催されています











































































































  

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