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2017年4月26日 (水)

国立新美術館・ミュシャ展

国立新美術館で開催されているミュシャ展を見てきました。

アルフォンス・ミュシャは華麗な女優のポスターなどでアールヌーヴォーを代表する画家ですが、晩年には
スラヴ民族の苦難と栄光の歴史を壮大なスぺクタルで描きました。

ミュシャはモラヴィア(現在のチェコ)に生まれ、少年のころ裁判所で書記として働きながら素描に励み、
22歳でクーエン・ベラシ伯爵のお抱え画家として働き、伯爵の援助でミュンヘン美術アカデミーに
留学します。27歳でパリに渡って活躍し、35歳の時に女優サラ・ベルナールの主演する戯曲「ジスモンダ」
のポスターが大評判となり、サラ・ベルナールとは6年の独占契約を結びます。
更に40歳の時に、ミュシャが手掛けたパリ万国博覧会のボスニア・ヘルツェゴビナ館の装飾が銀賞を
受賞し、41歳でレジオンドヌール勲章を受章しました。
晩年はチェコに戻り、50歳から16年をかけて「スラヴ叙事詩」全20点を完成させました。

チラシや雑誌、ポストカードから一部ご紹介します。

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ミュシャ展チラシ                          チラシ裏
絵は、スラヴ叙事詩①原故郷のスラヴ民族         絵は、ヒヤシンス姫
                                    バレエ「ヒヤシンス姫」のポスター
押し寄せる騎馬軍団におびえる二人の目が正面を向き、
鑑賞者をとらえます。祭司が神の加護を祈り、両脇の青年は防衛を、娘は平和を表す擬人像です。
近寄ってみると夜空は無数の点描で描かれています。

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チラシ 中左                             チラシ 中右

スラヴ叙事詩からご紹介します。
スラヴ叙事詩は、約6mx8mのサイズの絵が7点、他は約4mx5m、約6mx4mなどで、いずれも大画面に
壮大なスぺクタルが描かれています。

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スラヴ叙事詩②ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭   ③スラヴ式典礼の導入
民族の神スヴァントヴィート(中央上部)を讃える収穫祭  ローマ教皇の使節がモラヴィア王に対して
左上には狼を引き連れ、ゲルマンの戦神が迫る       スラヴ語の典礼を認める勅書を読み上げている
                                     下左では若者がスラヴ人の団結を示す輪を
                                     掲げています

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スラヴ叙事詩④ブルガリア皇帝シメオン1世         ⑤ボヘミア王プシェミスル・オタカル2世
シメオン皇帝が学者たちを集め、ビザンティンの文献を   中央のオタカル2世は姪とハンガリー王の
スラヴ語に翻訳させています                   息子の婚礼を行っています

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スラヴ叙事詩⑧グルンヴァルトの戦いの後           ⑪ヴィートコフ山の戦いの後
ドイツ騎士団をポーランドとリトアニアの連合軍が      ローマ皇帝軍を破ったフス派の軍人ジシュカが
打ち破った後、戦場に現れたポーランド王           画面右に立っています

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⑫ヴォドニャヌイ近郊のベトル・ヘルチツキー     ⑬フス派の王、ボジェブラディとクンシュタートのイジー
フス派と反フス派の戦いの後、平和主義と       教皇の使者の話を椅子を蹴倒して拒否するイジー
無抵抗主義を掲げるヘルチツキー

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⑭二コラ・シュヴィッチ・ズリンスキーによるシゲットの   ⑮イヴァンチツエの兄弟団学校
対トルコ防衛                            聖書をチェコ語に翻訳し、印刷小屋の前で
オスマン帝国の大群がハンガリーに攻め込んだ時、    領主らが刷り上がりを確認しています    
防衛指揮官の妻が足場の上に立ち、松明を
火薬庫に投げ入れます
黒い帯状の色は爆発を暗示しています

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⑯ヤン・アーモス・コメンスキーのナールデンでの最後の日々  ⑰聖アトス山
スラヴの兄弟団を背負い各地を放浪したコメンスキーが     アトス半島の聖堂に描かれた巨大な
オランダの海辺で終焉を迎えています              聖母子がアトスの四つのスラヴ系修道院の
                                    模型を持つ天使たちを見守っています

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⑱スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い   ⑲ロシアの農奴制廃止
中央の菩提樹に腰かけているのは女神スラヴィア       ロシアの農奴制廃止の勅令が読み上げられた 
その下で民族主義団体、オムラジナの若者たちが       直後のモスクワ赤の広場
結束を誓っています 左前景のハープを奏でる少女は
ミュシャの娘、右前景の裸の少年は息子イジー

019  ⑳スラヴ民族の賛歌
スラヴ民族の勝利を、時代を象徴する4色で描いています
右下の青はスラヴの神話時代  画面上奥の赤は中世、ヤン・フスらの英雄たち
その手前の黒い影は抑圧された時代と民族の敵を表しています
画面中央の黄色はハプスブルグの支配から解放された喜び、未来への希望と栄光が表されています
第一次世界大戦で勝利した連合軍の旗がひらめき、菩提樹の枝を掲げ、花環を運んで自由と平和と
団結を謳歌しています  新生チェコを象徴する、両手を大きく広げた青年が描かれ、背後には祝福する
キリスト

スラヴ民族の歴史を表した20点の大作の中からご紹介しました。
次にアールヌーボーを代表する芸術家としての名声を確立したポスターをご紹介します。

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サラ・ベルナール                         ジスモンダ
百合の花のティアラを付けたサラ・ベルナールを      アテネの公妃ジスモンダがシュロの葉を持つ
描いたポスター                          クライマックスシーン
                                    ミュシャが初めて描いたポスター
                                    主演女優のサラ・ベルナールが感激し、6年間の
                                    独占契約が結ばれました
                                    このポスターがパリ中にセンセーションを
                                    巻き起こした

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メディア                               トスカ
サラ・ベルナール主演の舞台「メディア」のポスター     サラ・ベルナール主演「トスカ」のポスター
エウリピデスのギリシャ悲劇
夫の裏切りに我を忘れ、自分の子を手にかける
メディアの狂気

024  装飾パネル「四つの花」
左から カーネーション、ユリ、バラ、アイリス  擬人化された花で表されています

025  蛇のブレスレットと指輪
「メディア」の舞台ポスターでミュシャが描いていた左手に巻き付く蛇を見て、サラ・ベルナールが
宝飾店に造らせました

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黄道十二宮                             ビザンティン風の頭部「ブルネット」
女性の横顔を十二星座の象徴が取り囲む          華やかな髪飾りを付けたビザンティン風の女性

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スラヴの連帯                            10コルナ紙幣
市民会館市長の間の天井画                   ミュシャはチェコスロヴァキア共和国の建国に
鷹(ソコル)の周りを樹木とスラヴの諸民族が囲む      際し紙幣や切手をデザインした

これらポスターの他、ミュシャは酒や煙草、菓子などのラベルや箱のデザインを手掛け、ベル・エポック期を
代表する傑作を次々と生み出していきました。

アルフォンス・ミュシャの華麗なポスターやデザイン、さらにスラヴ叙事詩の壮大な絵画に加えてこれらを
生み出すミュシャの途方もないエネルギーに感動しました。

この展覧会は6月5日まで開催されています。











































































 



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