東京国立博物館・禅 特別展
東京国立博物館・平成館で開催されている「禅 特別展」を見てきました。
禅宗は日本の鎌倉時代から南北朝時代にかけて、臨済宗が中国から伝えられ、武将は歓迎し、鎌倉に
建長寺、円覚寺などの大きな禅寺を建立しました。
京都でも天龍寺、建仁寺などが開山され、室町時代には京都、鎌倉に五山、十刹が置かれ、さらに
江戸時代には黄檗宗が伝えられて禅宗が栄えました。
中国で禅宗が始まったのは6世紀、インドから中国に来た菩提達磨によって広まりました。
達磨の「教外別伝、不立文字、直指人心、見性成仏」が旗印でした。
「禅 特別展」では全国から禅宗の高僧の肖像や墨蹟、仏像、絵画、工芸など、国宝22件、重要文化財
102件を含む多彩な名宝が展示されています。
前期、後期を通してチラシやポストカードなどから絵画を中心に一部ご紹介します。
禅 特別展 チラシ チラシ裏
チラシ 中左 チラシ 中右 達磨像 白隠慧鶴筆 192x112cm
江戸時代 18世紀 大分 萬壽寺蔵
2m近い大きな迫力のある像です。ギョロ目に大きな耳、勢いのある線が印象的です。
左上には達磨の語「直指人心(じきしにんしん)見性成仏(けんじょうじょうぶつ)」(まっすぐに自分の心を
見つめよ。自分に備わっている仏性に目覚めよの意)が書かれています。 慧可断臂図 雪舟等揚筆 国宝 室町時代
愛知 齋年寺蔵 慧可は腕を断ち切り覚悟を示して達磨に入門しました。
達磨の厳しい表情が絵を引き締めています。洞窟の岩肌もすごいですね。
臨済義玄像 伝曽我蛇足筆 重要文化財 無準師範像 国宝
室町時代 京都真珠庵蔵 中国南宋時代 京都東福寺蔵
鋭い目で回りに喝を入れる義玄 優しい表情 禅僧の衣装が丁寧に描かれています
蘭渓道隆座像 重要文化財 蘭渓道隆像 国宝
鎌倉時代 神奈川建長寺蔵 鎌倉時代 神奈川建長寺蔵 織田信長像 狩野永徳筆
安土桃山時代 京都大徳寺蔵
達磨像(どふ見ても) 白隠慧鶴筆 慧可断臂図 白隠慧鶴筆
江戸時代18世紀 東京永青文庫蔵 江戸時代18世紀 大分見星寺蔵
まさに刀を振り上げ左手を切ろうとする場面 宝冠釈迦如来 院吉作 重要文化財
南北朝時代 静岡方広寺蔵 両脇侍もあります
羅怙羅尊者座像 范道生作 達磨 吉山明兆筆 重要文化財
江戸時代 京都萬福寺蔵 室町時代 京都東福寺蔵
賓頭盧尊者、蘇賓陀尊者の座像もあります 蝦蟇、鉄拐図も
十牛図巻 伝周文筆 室町時代 京都相国寺蔵
少年が牛を見つけようと志し、暴れる牛を捕らえ、手なづけて帰卿し、「空」の世界に至る過程が描かれて
います。禅の悟りへの厳しい道を「牛探し」になぞらえ、自身の心の内を見つめる「直指人心(じきし
にんしん)」を図解した禅画です。
禅文化の広がりでは茶道具や屏風、障壁画などを紹介しています。 油滴天目 建窯 国宝 中国南宋時代
大阪市立東洋陶磁美術館蔵
秋冬山水図 雪舟等楊筆 国宝 室町時代 東京国立博物館蔵
瓢鯰図 大巧如拙筆 国宝 クローズアップ
室町時代 京都退蔵院蔵
禅問答の図です。「丸くすべすべした瓢箪で、ねばねばした鯰を押さえ捕らえることができるか」
足利義政がこの題を禅僧で絵師の大巧如拙に描かせ、31人の僧侶に答えさせました。
図の上部に様々な答えがありますが、「心とはとらえどころがなく、容易につかめない」と説いているようです。 呂洞賓図 雪村周継筆 重要文化財
室町時代 奈良大和文華館蔵
呂洞賓は中国の道教の仙人とされ、この絵では困難に立ち向かう呂が描かれています。
風が四方に吹き荒れる嵐の真っただ中にあり、龍に乗り、空の龍を見上げています。
呂が手にする水瓶の蓋を取ると中から龍が2匹飛び出していきました。緊迫した場面ですがこの後は
いったいどうなるのでしょうか。 四季花鳥図 狩野元信筆 重要文化財
室町時代 京都大仙院方丈障壁画 祖師図部分 長谷川等伯筆 重要文化財
安土桃山時代 京都天授庵方丈障壁画 竹林猿猴図屏風 長谷川等伯筆 重要文化財
安土桃山時代 京都相国寺
龍虎図 部分 狩野山楽筆 重要文化財 群虎図屏風 狩野探幽筆 重要文化財
安土桃山時代~江戸時代 京都妙心寺蔵 江戸時代 京都南禅寺
これらの他、たくさんの仏像、肖像、墨蹟、工芸などが展示してありました。
臨済禅の導入と展開では京都、鎌倉の他、静岡方広寺や広島佛通寺など、戦国武将と近世の高僧では
北条早雲や武田信玄、織田信長、豊臣秀吉、伊達政宗らと禅僧の結びつきが紹介されていました。
会場には座禅を体験する場も用意されていて、実際に座禅を組んでいる人がいました。
引き締まった気持ちで会場を後にしました。
この展覧会は11月27日まで開催されています。
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