« 東京都美術館・ボッティチェリ展 | トップページ | 東京美術倶楽部・創と造2016 »

2016年4月28日 (木)

国立西洋美術館・カラヴァッジョ展

国立西洋美術館で開催されている「カラヴァッジョ展」を見て来ました。

この展覧会は日伊国交樹立150周年を記念して、ローマ、フィレンツェなどイタリア各地の美術館から、
カラヴァッジョの作品11点と、カラヴァッジョに影響を受けた画家たちの作品約40点を紹介しています。
中には日本初公開の作品4点と、“世界初公開”の「法悦のマグダラのマリア」が展示されています。

チラシとポストカードから一部ご紹介します。

001 002
カラヴァッジョ展チラシ                     チラシ裏
絵は 「バッカス」                        絵は 「果物籠を持つ少年」

003 004
チラシ中左                             チラシ中右
上の絵は 「法悦のマグダラのマリア」

カラヴァッジョは出生地、ベルガモ近郊の村・カラヴァッジョにちなんだ呼び名で、正式には
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョです。
下絵を描かず、キャンバスに直接絵の具を塗って仕上げますが、当時のアカデミックな画法(マニエリズム)に
反発し、自然と真実が一番大切だという信条のもと、写実的でドラマチックな新しい表現に挑戦し、
鮮烈な光と深い闇を描くことでそれまでの絵画を劇的に変えました。
カラヴァッジョが創始したこのスタイルはヨーロッパ中に広まり、バロック美術の幕開けとなりました。

005  「女占い師」 1597年 26才 (日本初公開)
手相を見る振りをして、裕福な男性の指輪を抜き取る女性。女性はロマ族の衣装を着けています。
ディテールを省いた背景で二人を強調しています。

006  「トカゲに噛まれる少年」 1596ー97年頃 (日本初公開)
トカゲに噛まれて驚いた表情をしていますが、この様な知覚の反応や感情の表現は、これまでに
見られなかったものです。また少年は髪に花を挿し、片肌をあらわにして少女のようです。

007  「ナルキッソス」1599年頃 28才
水に映った自分の姿を見ていますが、青年にスポットライトを当て、背景は暗く、青年の姿が劇的に
浮かび上がります。構図も斬新で、画面を上下2段に分け、下に泉に写る姿を描いています。

008  「果物籠を持つ少年」 1593ー94年頃
籠の中のリンゴや桃、ブドウなど静物を精密に描写しています。
カラヴァッジョは静物も得意で、中には腐った果物も一緒に描きこんだ、超写実の静物画もあります。

009  「バッカス」 1597ー98年頃
酒の神、バッカスを描いているのですが、カラヴァッジョは神や聖人も普通の人間として描きました。
このバッカスも片肌を脱ぎ、衣装の帯をほどいて艶めかしく描いています。
ワインのカラフェの白い光の横、ガラス面に人の顔が描かれているのが見えるでしょうか。
これはカラヴァッジョの自画像だそうです。

010  「マッフェオ・バルベリーニの肖像」1596年頃(日本初公開)
マッフェオ・バルベリーニは後の教皇、ウルバヌス8世です。

011  「エマオの晩餐」 1606年
エマオの村で、キリストの弟子二人の前に現れた、復活したキリスト。
ワインを注ぎ、パンを取る仕草から弟子たちがイエス・キリストではないかと分かった時には、姿が
消えていた。

013  「メドゥーサ」 1597ー98年頃 (日本初公開)
髪の毛が蛇になっている、あのメドゥーサです。顔を見たものは石になると言われます。
「メドゥーサ」を描いたキャンバスが楯に貼られています。

015  「洗礼者聖ヨハネ」 1602年 (日本初公開)
聖ヨハネも、若い普通の青年に描かれています。


017  「エッケ・ホモ(この人を見よ)」 1605年頃
捕縛されたキリストに衣服をかけています。手前の人は「この人がキリストだ」と言っているのでしょうか。


016  「法悦のマグダラのマリア」 1606年 35才
“世界初公開” 400年行方が分らなかった絵が2014年に発見され、つい最近、カラヴァッジョの真筆
と判定され、イタリア本国に先駆けて、今回日本で世界初公開されました。
カラヴァッジョが死の直前まで手放さなかった絵で、マグダラのマリアが洞窟の中で、死の間際に
神との一体感に恍惚の表情を浮かべています。
眼には涙がひかり、組んだしなやかな指は土気色に変色しています。
この写真では上の方が少し切れてしまいましたが、最上部に洞窟の入口の薄明かりがあり、
その明かりとマリアの間に、かすかに十字架が描かれているのですが、見えるでしょうか。
何とも劇的な絵です。

(参考) 展覧会には展示されていなかったのですが、「聖マタイの召命」をご紹介します。

018  「聖マタイの召命」 1598ー1601年頃
右側に立つキリストが、収税人マタイを弟子にする場面です。
キリストが指さす方向に光が当たり、収税人マタイを浮かび上がらせています。
マタイはうつむいて金銭勘定に専念しています。皆の驚きの表情が光の中に劇的に表され、背景は
暗闇に沈んでいます。

このようなリアルな、ドラマチックな絵は、近代写実主義の先駆けとなり、ルーベンスやラ・トゥール、
レンブラントらに多大な影響を与えました。

展覧会で展示されていた、他の画家の絵を2点ご紹介します。

012  ラ・トゥール 「煙草を吸う男」 1646年
煙草につける火の明かりの中に浮かび上がる男。ラ・トゥールも光と闇を効果的に描きました。

014  グエルチーノ 「ゴリアテの首を持つダヴィデ」 1650年頃
ダヴィデが投石器で巨人ゴリアテを倒し、首を切り取って神に勝利を感謝しています。
カラヴァッジョの絵では、ダヴィデが髪の毛を掴んで、ゴリアテの首をぶら下げており、ゴリアテは
カラヴァッジョの自画像とされています。

これ等の他、カラヴァッジョの影響を受けた画家達(カラヴァジェスキ)の絵が多数展示してあり、
更に、刀剣不法所持や喧嘩、決闘、殺人などの調書、事件簿といったものの史料も展示してありました。

カラヴァッジョの劇的な、素晴らしい絵と波乱万丈の人生に触れました。

この展覧会は6月12日まで開催されています。











































« 東京都美術館・ボッティチェリ展 | トップページ | 東京美術倶楽部・創と造2016 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
私もカラヴァッジョ展を見てきましたので、作品の画像やご説明を読ませていただき、カラヴァッジョの絵画のインパクトの強い光の表現など、カラヴァッジョの絵画の感動が追体験することができました。劇的な明暗法によって浮かび出る人物表現と「光と影」の自由なリアリティーのある絵画表現、どんな場面にも美しさが潜ばせる独特の美意識が強く印象に残りました。

今回のカラヴァッジョ展からカラヴァッジョの絵画の魅力と、なぜカラヴァッジョが美術史を塗り替えるほどの影響力を持ったのかを考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 国立西洋美術館・カラヴァッジョ展:

« 東京都美術館・ボッティチェリ展 | トップページ | 東京美術倶楽部・創と造2016 »

無料ブログはココログ

座間、海老名

  • 座間ひまわりまつりと海老名泉橋酒造