国立科学博物館・ヒカリ展
上野の国立科学博物館で開催されている「ヒカリ展」を見て来ました。
「ヒカリ展」チラシ チラシ裏
チラシにもあるように、光るカイコや光る花、オワンクラゲからオーロラ、宇宙、その他、盛りだくさんの
内容でしたが、写真に撮れたものを中心にご紹介します。 コクーンアーチ
博物館の中に入ると先ず、光るカイコの繭(コクーン)が迎えてくれます。
最初は「宇宙と光」のゾーンです 展示の様子
展示してある部分は明るいのですが、通路などは照明を落としています。 宇宙マイクロ波背景放射発見
いきなり最新の宇宙の難しい現象が発表されています。
これは欧州宇宙機関が打ち上げたPlanck衛星によって観測された、宇宙最古の光です。
宇宙誕生(ビッグバン)から38万年後、やっと光が直進できるようになった時の、光の名残で、そのわずかな
温度のゆらぎが観測されたものです。
これにより、ビッグバン理論が正しいと証明されました。
プランク衛星のデータ解析により、宇宙の年齢は138億歳とされ、宇宙にある物質の68、3%がダーク
エネルギー、26、8%がダークマターで通常の物質はわずか4、9%しかないことが分りました。
日本のすばる望遠鏡の模型 惑星専用観測衛星「ひさき」の模型
ハワイ島マウナケア山頂に設置、大型赤外線望遠鏡 世界初の惑星分光観測衛星
太陽系外惑星の検出を目的としています IKAROS イカロス
小型ソーラー電力セイル(宇宙帆船) 太陽の光を帆に受けて進みます。
帆は14mの超薄膜、帆の一部に薄膜太陽電池が組み込まれています。
この他にも宇宙や太陽の説明がありましたが、先に進んでオーロラシアターに入ります。 壮大なオーロラ
3Dメガネをかけて見ると、まるで自分の目の前にオーロラが降りてくるようです。
ここはカメラが使えませんので図録から拝借しました。 地球の磁気圏
地球は自らが持つ地場により、磁気圏というシェルターを周りに作り、太陽風プラズマから守っていますが、
南北の極近くには磁力線が開いた領域があり、太陽風プラズマがそこから入り込みます。
これがプラズマシートにたまり、その電子や陽子が磁力線に沿って、南極、北極に降り注ぎ、地球の大気と
衝突してエネルギーを与え、これが光となってオーロラが発生します。
次は光の科学のゾーンです
ここでは光(電磁波)の分類(可視光、赤外線、電波、紫外線、X線、γ線)や、光が波であり、光子と呼ばれる
粒子でもあることを、ニュートンやアインシュタイン等、歴史上の物理学者を登場させて説明してありました。
次に地球と光のゾーンへ向かいます
蛍石 通常光 紫外線を当てると右の2個が蛍光
方解石 通常光 紫外線を当てると蛍光
沢山の鉱石が通常光と紫外光の下で展示されていました。
ルビーは紫外光で赤く、オパールは緑に光ります。
モルフォ蝶 ホウセキゾウムシ
モルフォ蝶の鮮やかな光は構造色によります こちらはフォトニック結晶
羽根の鱗粉表面の微細な構造により、光の干渉や 多数の小孔がスポンジのように並んだ構造を
回折が起こり、青色の光が強調されます 持つ羽根です
これによる干渉で光ります
玉虫も構造色で、多層膜の干渉により鮮やかに光ります。
この他、ホタル、ホタルイカ、サンゴ、クラゲなど、光る生物の説明がありました。
ホタルなどの発光はルシフェリンという発光の素に酵素、ルシフェラーゼが結合して光ります。 オワンクラゲ
下村脩博士はウミホタルを使ってルシフェリンの結晶化に成功し、更にオワンクラゲから発光タンパク質の
イクオリンと緑色蛍光タンパク質(GFP)を発見しました。(2008年ノーベル化学賞受賞)
このGFPは医学、生物学に革命をもたらし、生きている細胞の複数の遺伝子にいろいろな色の目印を
つけることができるようになり、目的の遺伝子やたんぱく質の動きを見ることができます。
次は光る繭と光る花です 光るカイコの繭
オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子を、カイコの卵に注射して染色体に組み込ませて作成。
2008年には光る生糸も作られました。
サンゴの蛍光タンパク質も導入して赤や紫の繭も作られるようになりました。
光るカイコの糸で織った光るシルクのショール 光るシルクの十二単衣 光る花の説明
海洋プランクトンの黄緑色蛍光タンパク質の遺伝子をトレニア(夏スミレ)に導入し、世界初の光る花を
開発しました。この花は外部からの青色光のエネルギーを受けて黄緑色の蛍光を発します。
これはドライフラワーにしても発色します。
青色光を受けて蛍光を発したトレニア 通常光のトレニア
また、赤外線カメラや高感度カメラの映像もありました。 光格子時計とイオントラップ時計の説明
時計は振り子の機械式時計からクオーツ(水晶)の振動による時計、電波時計と進化して来ましたが、
最近ではセシウム原子時計(百年に1秒以下の変動)、更に光格子時計、イオントラップ時計が開発
されています。
光格子時計はレーザーで作った光の格子の中に原子を閉じ込めて時計信号を得ます。
多数の原子を集められます。
イオントラップ時計はイオン化された、ただ1個の原子を捕えて時計信号を得るという事で、
光格子時計も共に、数十億年に1秒の変動しかないそうです。
最後に第2会場の光る繭によるクリスマスツリーを見ました。
色々な色に光るクリスマスツリー
見ごたえのある内容で、光について沢山の勉強をしました。
このヒカリ展は2月22日まで開催されています。
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