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2014年10月23日 (木)

山種美術館・輝ける金と銀

渋谷区広尾にある山種美術館で開催されている「輝ける金と銀」展を見て来ました。

近代から現代の画家(琳派から加山又造まで)が、金や銀、プラチナなどをどのように絵画に活かして
きたかを展覧するものです。

金、銀、プラチナなどを、ごく薄く延ばした箔として、四角く切って貼り付ける「切箔」、細かく砂状にした
「砂子」、また箔を粉状にして膠を練り混ぜた「泥」などを絵画に使います。

図録から一部ご紹介します。

001  輝ける金と銀  チラシ

002  松岡映丘 「春光春衣」
金と銀の切箔、砂子、野毛(切箔を糸状に細く切ったもの)を使っています。
平安時代の華美や豪華な絵画表現を参考にしたそうです。

003  俵屋宗達 絵 本阿弥光悦 書
「四季草花下絵和歌短冊帖」
短冊の地に金箔の砂子が撒かれて、金泥、銀泥で絵が描かれています。
鶴や柳、椿、つつじなど銀泥で描いた絵は黒く変色しています。

004  岩佐又兵衛 「宮女観菊図」 重要文化財
水墨を基調に金泥を薄くつけています。かすかな光が射しているように見えます。

005  酒井抱一 「秋草鶉図」 重要美術品
総金地に草花と鶉と月が描かれ、鮮やかです。

007 006
横山大観 「竹」  絹の地の裏に金箔を貼っています。
絹の目地からかすかに見える金箔の光で木漏れ日を表現しているそうです。

010 009
速水御舟 「名樹散椿」 重要文化財
金砂子を何度も撒いては擦りつぶしていく「撒きつぶし」の手法を使っています。
表面が均質になり、鮮やかな黄金色ですが、金箔を貼ったようには光っていません。

011  酒井抱一 「月梅図」
金泥を月本体ではなく、周りの陰影に使って暗い部分を作り、月の明るさを表現しています。

012  速水御舟 「昆虫二題」のうち「葉陰魔手」
プラチナ泥の地の上に雲母が塗られて、蜘蛛の巣の細い糸を描いています。
糸に光が反射して煌めく様子が表現されています。
美術館の実物では蜘蛛の巣の糸が煌めいて、風に震えているように見えましたが、図録ではそのように
煌めいては見えません。
ブログの写真ではなおさら輝いてはいないのではないかと思います。

014 013
川端龍子 「草の実」
芒や女郎花などの秋の草花を金泥で描いています。地は濃紺の絹です。
金泥、青金、プラチナなどの様々な泥を使い、その濃淡を施して綿毛や穂などの繊細な表現を行っています。
川端龍子は紺紙金泥経に関心があったそうです。

015  柴田是真 「墨林筆可」の中の「孔雀」
孔雀の羽根に金、背景は砂子撒きです。

017 016
加山又造 絵付  番浦史郎 制作  山種美術館、館内の壁画


018  山本丘人 「真昼の火山」
銀箔の上に胡粉を塗り、雪に覆われた火山と裾野を描きます。
畑の木は金泥、噴煙には赤味の強い金箔、空も銀箔地に胡粉、更に金泥を使っています。

019  平山郁夫 「ロンドン霧のタワア・ブリッジ」
テムズ川に架かる跳ね橋を描いています。岩絵の具の上に金泥を重ね、その後で金泥をこすって
下の絵具の色を見せているそうです。
霧に煙るようなロンドンがよく表されています。

021  西田俊英 「華鬘(けまん)」
華鬘は仏堂に掛ける装飾(華曼荼羅)です。
背景の銀箔の上に雲母と金泥を混ぜたものを薄く塗っているそうです。
向日葵、百合など沢山の花で曼荼羅の世界が描かれています。

023 022
牧進 「春飇(はるはやて)」  自宅に咲く牡丹と蝶が台風の風に煽られる様子を描いています。
下地にプラチナ砂子を撒きつぶしその上からプラチナ泥を塗っているそうです。
牡丹の木の根元には金砂子を使っています。
牧進さんは金、銀など輝く性質のある画材には、描く対象を「動き」のあるように見せられる効果がある
と考えています。
蝶と花が風に煽られる様子を、より動きのあるものとして表現したそうです。

024  田渕俊夫 「好日」
稲の収穫が終わり藁を燃やしている農村の風景です。
絹の裏から全面に金箔を貼った裏箔を用いています。裏箔により、透明感、奥行き、空気感を出そうとしました。
田渕俊夫さんは金、銀、プラチナなど金属は乱反射するので、岩絵の具では出せない透明感が出せる
と考えています。

025  加山又造 「裸婦習作」
黄金の文様が放つ荘厳な、宗教的神秘性と女の裸体を対比させています。

これ等の他、近、現代の輝ける金と銀の作品が沢山ありました。
総数70点近くが前期と後期の展示替えを含めて展覧されています。

更に金箔、銀箔、プラチナ箔の種類や金泥、銀泥などのサンプルの他、画家たちの技法を再現した
技法サンプルが作成されています。
技法サンプルには別種の技法サンプルも並べて比較されていて分りやすいです。
又、古い銀泥は黒くなっていますが、新しく作成されたサンプルで、絵画制作当初の意図が分ります。

この展覧会のおかげで、これまで漠然としていた金箔、銀箔や金泥、銀泥などを使う目的や効果が
少し理解できました。

この展覧会は11月16日まで開催されています。

 山種美術館
    東京都渋谷区広尾3-12-36
        Tel 03-5777-8600

 
























































 

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