日本伝統工芸展 受賞作品
日本橋三越で9月29日まで開催されていた日本伝統工芸展を見て来ました。
受賞作品や重要無形文化財保持者(人間国宝)の方の作品を始め、監査員の方、一般の方の作品など、
数多くの作品が展示されていましたが、その中で受賞作品について、図録やチラシからご紹介します。 日本伝統工芸展チラシ
受賞作品が紹介されています チラシの裏にも受賞作品
ポストカード
受賞作品をご紹介します。 長板中形着尺「漣文」 松原伸生
高松宮記念賞
藍染の高度な技により水面の漣を表しています。 蒔絵八角箱「月華」 大角裕二
文部科学大臣賞
蓋の上に細く切った貝を並べて円を作り、円の中に彩色で狐を浮かび上がらせています。
見る角度により、狐がはっきり見えたり、おぼろに見えたりします。
側面は貝の小片を並べた薄の文様と銀地の薄の二種を交互に表しています。
筒状の蓋を取ると身の方には兎と狐が表されているそうですが、残念ながら蓋は開けられません。 黒柿有線寄木象嵌箱 渡辺晃男
東京都知事賞
黒柿の板と錫が寄木になっています。錫の白線がリズミカルです。
蓋の貝を使った花模様も素晴らしいですね。 截金硝子長方皿「流衍」 川本茜
NHK会長賞
緑、青、透明のガラスの中に、細く切った金箔とプラチナ箔が埋め込まれています。
2枚のガラス板の下の板に箔を貼り付け、上のガラス板を重ねて焼いて作るそうです。
川本茜さんはガラスの研磨から全て一人で作業するそうです。大変な仕事ですね。 黒描鳥花文鉢 米田和
朝日新聞社賞
ぼってりとしたおおらかな鉢に黒と白の対比が鮮やかです。
まるで墨絵のような鳥と花が白い地肌に浮き上がっています。 透網代箱 松本破風
日本工芸会会長賞
繊細な曲線で編まれた透かしの網代箱です。漆も塗ってあり、中に入れたものが輝いて見えるでしょうね。 銀打出し花器「風韻」 大角幸枝
日本工芸会保持者賞
銀地の白に鉛象嵌の黒、金の象嵌が砂丘の風紋のように鮮やかに波打っています。 彩刻磁鉢 石橋裕史
日本工芸会奨励賞
棕櫚の木のような彩刻が青のグラデーションを作り出しています。
鉢の外は艶を消して、内側は光沢が光っています。 友禅訪問着「群」 水橋さおり
日本工芸会奨励賞
帯状の花のような模様は、近づいていてよく見ると全て羊、羊の群れです。
姿形も表情も違う羊が360頭もいるそうです。羊の模様の着物は初めて見ました。 乾漆蓋物「暁」 山田勘太
日本工芸会奨励賞
麻布を漆で貼り重ねて造る乾漆の技法で四方の蓋物を造り、黒漆を何回か塗って上漆に朱の漆を
1回だけ塗り、ほの暗い朱で仕上げています。渋いですね。 朧銀花器「纏」 清水竜朗
日本工芸会奨励賞
花器の表面にもやもやとした被膜のような模様がついています。 陶彫彩色「寒威」 溝口堂史
日本工芸会奨励賞
大宰府天満宮の鷽替え神事に思いをはせた作品です。
鷽を小脇に抱える身体に雪が降っています。 久留米絣着物「思い出」 柿原真木子
日本工芸会新人賞
孔雀の羽の文様と花火の文様を並べています。花火の特に白い部分は経糸も横糸も白を使い、
一方だけ白糸を使った部分と白さの差をつけています。
藍染も白を残すために、通常の半分の時間で染めの作業を終わらせているそうです。 栃拭漆十角飾箱 市川正人
日本工芸会新人賞
十角面の箱は角が取られて球面に感じられます。拭漆の赤茶色の仕上げと相俟って、柔らかな、
温かみのある作品となっています。 木芯桐塑布紙貼「しだかじ」 満丸正人
日本工芸会新人賞
“しだかじ”は沖縄の涼やかな風・涼風のことだそうです。
人形の優しい表情が良いですね。
受賞作品はいずれも確かな技術と意欲に満ちた、素晴らしい作品でした。
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