龍村平蔵さんの美術織物
横浜高島屋で開催されていた龍村平蔵さんの美術織物を見てきました。
京都の老舗、龍村美術織物は創業120年を迎え、これを記念して高島屋で展覧会が開かれました。
すでに大阪、京都、東京日本橋の高島屋で開催され、横浜が最後です。
初代龍村平蔵さんは16歳で西陣織物の世界に入り、ジャカード機(フランスの自動織機)を導入して
種々の織物を開発し、30代で六つの特許と三十の実用新案を取得するなど、新しい技法で
織物を芸術の域まで高めました。
私は織物はよくわからないのですが、チラシを見た時に、デザインやカラフルな色づかいなど
まるで絵画のような芸術性に惹かれました。
図録の中から、拙い写真ですが作品を紹介します。
丸帯 画舫錦(がぼうにしき) 丸帯 光悦夢蝶錦 光悦御車錦
さわやかな緑、明るい色彩です 鮮やかな蝶と車
丸帯 煬帝栄華錦 打掛 花鳥文金唐革錦
繊細な織り 人の表情までわかります 豪華で厚い織物です
打掛 寿鳳飛来文 打掛 纐纈織瑞兆華禽錦
鳳凰が優雅に舞っています (こうけちおりずいちょうかきんにしき)
纐纈織(こうけちおり)は初代龍村平蔵が発明した脹れ織りの一種で、地と文様の組織のほかに
2本以上の糸をより合せた糸で二重織りにし、蒸熱処理をして表面に凹凸を生じさせる技法
染色の絞りの表情を織りで表しています
打掛 遠州錦 陣羽織 豊公獅噛鳥獣文
遠州七宝錦の文様 (ほうこうしかみちょうじゅうもん)
豊臣秀吉が着た陣羽織を復元
古代裂 四天王獅猟文様錦 古代裂 犀連珠文錦
四天王が振り返って獅子を射る図 愛らしい犀です
祇園祭函谷鉾前懸 壁掛 漢羅楽浪(かんららくろう)
(ぎおんまつりかんこぼこまえかけ) 漢の楽浪遺跡の紋羅を復元
ベルギーで製作された毛の綴織を四代が復元 振り向いて虎を射る騎馬人物など
まるで木彫りのレリーフのように立体的です
初代の伝説的な織物です 名物裂 仕覆(しふく) 茶入れの袋 復元
四代 白象陶彩文 四代 ぎやまん錦
現在の四代、龍村旻さんは初代の孫にあたります。
龍村織物では織物を立体的にとらえ、法隆寺や正倉院に伝わる宝物や、茶人に愛された
名物裂、南蛮美術などの美を追求し、古代裂の復元から学びました。
更に他の美術工芸の表情を織り込んだ作品も製作しています。
漆器の堆朱や蒔絵、螺鈿、ぎやまんや切子、又、陶磁器の青磁、古九谷、志野、織部など、
様々な美術品に自由、闊達に取り組んでいます。
今回の300点にも及ぶ素晴らしい作品に圧倒され、織物に対する観念が変わってしまいました。
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